スリッポンのはなし

仕事柄、飲食店の撮影時にはスリッポンがベストと言われている。小上がりや座敷席で

機材を抱えたままスルッと脱着できるからだ。

ヒモ付きやブーツだとこう簡単にはいかない。本当に優れた靴だと言わざるを得ない。

そして何よりも、他の靴に比べて安価だ。

構造が単純だからか、ブランドバリューが無い商品だと、本当に便所サンダルのような

値段で売られている。

先日、ユニクロ×クリストフルメールのコラボスリッポンが発売された。

発売から時間が経過したためか、今ではホームページ上で値下げされて売られている。

つま先部分の美しいラインもさることながら、何よりも着目したのはその値段。

半額以下でなんと1290円である。コラボデザインでこの値段は破格だ。

スリッポンに生かされている私はもちろん即ゲット。大満足である。

個人的にスリッポンは「冬のサンダル」だと思っている。

ワンシーズン履き終わる頃には、落ちない汚れで黒ずんでしまうので捨てるほかない。

洗って運用するにもホワイトだと限界がある。そうなると、安さが選ぶ基準の大部分を

占めることになるのだ。ソールの厚さとトウ部分の曲線以外、デザインも毎年大きく

変化することはない。ベーシックで汎用性が高く、サンダルほどラフには

ならないのに、サンダルくらい気軽に着脱できる。近所に行くにも遠出するにも、

楽チン、という言葉がこれほど似合うスニーカーはスリッポンだけだろう。

実際にこのスリッポンをゲットした直後、半年くらいの間お世話になった

GUの900円スリッポンとサヨナラした。元が900円だと頑張って使う気にもなれない。

ファストファッションの気楽さと悲しみが詰まった運用方法だけど、それも世の常。

高価な白い靴を履いていいのはすごいお金持ちか、強力な靴用洗剤を持っている人

だけなのだ。

エイっと気合を入れて買った高い靴は、ちゃんと手入れして長く履きこなしたほうがいい。

普段使いのスニーカーは、消耗品と割り切って運用したほうがいい。

肴は炙ったイカでいい。

女は無口なほうがいい。

灯はぼんやりともりゃいい。

窓から港が見えりゃいい。

なぜか舟歌が途中からはさまっちゃったけど、スリッポンをしみじみ履く理由なんか

どこにもないのだ。特に暗い色になればなるほど汚れが目立ちにくくなって、白よりも

長寿命で使いまわせるだろう。

これからの寒くなる季節に向けて持っておくべき一足であることは間違いない。

忘年会など飲みの席での機動力アップに持ってこい。その活躍は私が保証しよう。

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