圏外編集者
活字を読み始めるとマルチタスクができなくなる、という理由で
しばらく本から離れる人生を送っていた。
ところが最近、久々に痺れる本に出会った。
止めどきがわからんくらいに面白い。
これは中島らものエッセイ以来の感覚だ。
それはサブカル界の重鎮である都築響一さんの出版した「圏外編集者」。
筆者の半生から思想、生み出した作品に至るまでを網羅し、
底の見えない造詣の深さを垣間見ることができる。
元々バイトから「POPEYE」「BRUTUS」といった雑誌の世界に飛び込み、
いつの間にかフリーの編集者として活躍している都築さん。
独自の視点から世の中を観測し、
日の目を浴びずに人々に見捨てられた場所、
人、物へスポットを当てる。
対象を常にリスペクトする姿勢、
気になるものをどこまででも追いかける執念、
大量の素材をまとめ上げる根性。
その姿はまさに編集者の鑑だ。
何のためにその本を作るのか?
何に興味を持って、どれだけ情熱を注ぎ込めるのか?
文中から溢れ出す筆者の熱量にやられて、
何か始めないと・・・と背中を押されるような気持ちになれる一冊。
読むほどに、彼の目線から描かれるリアルな日常風景、
それがどういう経緯で本という形へ紡がれていくのかが
手に取るようにわかる。
新しいことを始めようとするバイタリティ溢れるチャレンジャーたちに
ぜひ読んでほしいと思う。
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