冬支度はストーブの芯から
9月も半ばにさしかかった。
季節的にも、思い出作り的にも、
それぞれの夏が終わった頃だろう。
個人的には熱に弱いので「やっと夏が終わってくれたか」と
胸をなで下ろしているところだ。
まだまだ残暑が続いているが、住んでいる場所柄
秋が異様に短く、あっという間に寒い季節が到来する。
冬が来るのは願ったり叶ったりだが、
私はエアコンの暖房がどうにもダメだ。
部屋の空気を温めるというよりも、
熱風を無理やり起こしているような風情のなさ。
何より長いこと熱風を浴び続けていると、
乾燥と温度で眠っちゃいけないタイミングに
猛烈な眠気が襲ってくる。
結果、仕事の作業効率が極端に落ちて
無駄な時間ばかりかかる。
やはり多少寒くても構わないから、
暖炉のような優しいぬくもりを手軽に再現したい。
そのために必要なのは、ストーブである。

我が家のペチカ(SHARP HSB-84E)は、
「ストーブといえばアラジン」が全盛期だった1960~70年代、
各社家電メーカーがこぞってストーブ事業に参入していた時に誕生した。
色褪せないフォルムに存在感溢れるオレンジが印象的で、
一目見た時から「この子なしでは冬が越せない」と思わせる魅力があった。
蚤の市で優雅に売られていたペチカを6000円で買い取り、
浮かれながら連れ帰った日のことを今でも思い出す。
ただ、古いものだから当然のごとく手はかかる。
毎年使い始めにメンテしないと、美しいブルーフレームを拝めない。
ストーブに耐震装置が義務付けられる前のものなので、置き場に気を遣う。
燃料がなくなればガソリンスタンドに出向き、
重たい灯油をヒーヒー言いながら持って帰らないといけない。
近代のものと比べてないから実際のところわからないが、
多分燃費も良くないんだろう。
それでもなお、余りある可愛さオーラを放ち続けるその佇まい。
ちゃんと手入れすれば長持ちするのだ、という心を忘れないためにも、
ずっと家に居続けてもらいたい一品なのだ。
ここからは完全に個人的な記録用になるが、替え芯を間違えて買うと
全くはまってくれない。無理矢理にはめ込むことができるものもあるが、
やはり適材適所というか、心臓部分は適切なものを与えたい。
うちのペチカは「W-221J」という型の替え芯が適合する。
芯のパッケージもレトロで可愛く、部屋の隅に置いておくのも問題なし。
箱を開けるとしっかり交換の説明書まで入っている親切設計。
SHARPそのものはずっと不穏な空気を放ち続けているが、
とりあえず何は無くとも替え芯だけは今後も作り続けて欲しいものである。
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