不眠症の救世主、クナイプ
もうずっと長いこと不眠症である。
眠り下手、という表現のほうがしっくり来るけど。
大体布団に入ってから落ちるまでに2時間はかかる。
寝る前にコーヒーを止める、部屋を暗くして過ごす、
ストレッチをして体を少し動かすetc..
それはもうスパッと眠る方法を色々と試したが、
しかし全く改善されないまま、30数年以上の歳月が過ぎようとしていた。
そんなある日、ひょんなことから面白い名前のバスソルトを入手した。
その名も「クナイプ グーテナハト」。
ドイツ語でおやすみなさい、と品名に堂々と書いておるではないか。
もしかしたらお風呂でポカポカになった体にアロマ的な効果で
睡眠導入へのシナジーが起きるかもしれん!と淡い期待を抱き始める。
当然風呂掃除する動きもいつもより機敏だ。
颯爽と水でバスタブを流し、時計を見る。am0:45。
時間もバッチリ寝る直前だ。
そして厳かにお湯を溜め始める。
半身浴になるような水量で。
焦らず適温、40℃。
好奇心と猜疑心、相反する感情が心を締め付ける。
だってそれはもうずっと待ち焦がれていた、
素早く眠れる睡眠スイッチなのかもしれないのだ。
で、待つこと15分。ついにその時が来た。
"ピロピローン お風呂が 沸きました"
無機質な女性のアナウンスがリビングに聴こえてくるも、食い気味に湯船へダッシュ。
勢いよく蓋を外し、旭日松ばりにバスソルトをぶちまける。
その刹那、鼻腔から脳髄にかけて、
シトラスのような、色で言えば蒼のような、
静かに澄み切った湖にゆらりと波紋が浮き出るような、
とても静的なフレーバーが漂う。
店の前に立ち止まって嗅ぐ匂いで
なんとなく美味い店かどうかが分かるように、
バスソルトの匂いを嗅いだ瞬間に「あ、これは眠れるだろうな」と
確信めいた予感が心をよぎる。
湯にゆっくりと溶けていき出来上がった湯船もやはり、
夕日の落ちた直後を想起させる、透明度の高いブルー。
脳内に流れてくるのは久保田利伸の名曲「夜に抱かれて」。
そのまま湯船に浸かり、浴槽に身を任せる。
ここ・・・これは!なんともいい塩梅ではないか!
時間の感覚を忘れるほどに心地よく、
ため息がいつもの5倍くらい出る。
今まで使ってきた◯王の◯ブやら、◯スロ◯ンといった入浴剤を
一瞬で過去のものにする湯ざわり。芳香。
気づけばあっという間に45分経過していた。
なんという時間泥棒。
ちなみに入浴後の睡眠導入効果だが、普段では考えられないほどの
恐ろしいスピードで眠りの尻尾を捕まえることに成功した。
頑張って寝ようとしなくても、自然に夢が向こうから迎えに来るような。
なんとも素敵な体験をした夜だった。
当然次の日に速攻で大サイズの本アイテムをゲットしたことは
想像に難くないだろう。
何度か使うことで、湯上りにより強力な導入感を
残すコツを掴むことにも成功した。
なるべくフレーバーを体に残すために、
上がり湯(シャワー)を使わない、という技である。
これは効能のある温泉でも有効な方法なので、ぜひお試しを。
泣け!泣け!と迫ってくるような
感動を押し付ける映画はあまり好みではないが、
寝ろ!寝ろ!と睡眠を押し付けてくるアイテムは大歓迎である。
このクオリティの入浴剤がこれからバンバン増えて欲しいものだ。
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